アルバイト辞めて二ヶ月弱

アルバイトが嫌すぎて勢い余って辞めてしまったのが10月。そこから労働のない日常を送っているわけだが、「今は」すこぶる気分がいい。とにかくストレスがない。偉そうな客におびえながら接客することもないし、高圧的な客の理不尽なクレームに恐怖と怒りを覚えながらも手も足も出ず頭を下げることもない。店は店員を守ることよりも店の評判の方を重視する。自分には接客業は向いていないことを痛感した数ヶ月であった。

アルバイトを辞めて基本的にはよかったと思っているが、辞めて少しした時はつらかった。完全に経済的には自立した生活を送っているので、当然ながら働かないと収入がない。貯金を切り崩しながら生活しているわけだが、自分は結構心配性で安定を求めるたちなので、「定期的な収入がない中で一体これからどうやって生きていけばいいのか」とまではいかないが、強烈な不安を抱いた。これは本当につらかった。なにをするにも金の心配が脳裏をちらつき、何もする気にならなかった。できなかった。無論、全てアルバイトを辞めたことが悪いのだが、それはそれ。いや、これほどまでに歪んだ人格と労働観を持ってしまったこと、コミュニケーション能力や明朗さを失ってしまったことに対して、自分でも悲しく思う、平たく言えば「もっと普通に労働に耐えられる、みんなみたいな明るい人間であれたらよかったなぁ」と思いはする。

そんな金銭的不安にさいなまれることもあったが、そこからまたしばらくすると、今度はそれほどまでに苦しめられた不安を感じなくなった。そしてそこから今に至る。

別にお金が手に入ったわけではない。ただ単に現実逃避、現実から目を背けることがうまくなったというだけのことだろう。状況はなにもよくなっていない。しかしそれでも、不安や焦燥から逃れられるというのはとても重要なことだ。

それにしても、このアルバイトを始めて辞めるまでの一連の流れの中でたくさんのことを学んだ。労働内容からは特に学んだことはないが、労働そのものについては感じることがたくさんあった。今回学んだことは、たとえたいしたものでなくても、生活に困らないだけの収入があるというのはとても大事なことなのだということだ。この収入が人生に安心感をもたらしてくれるのだと痛感した。ささやかな安心感、安心感。

やはり労働は多くのことを教えてくれる。やってみないとわからないことというのがたくさんある。しかし接客業はごめんだ。これだけは極力避ける。そういう感じだ。